宗教者九条の和
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「日本人の幻想(二面性)、憲法9条」
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(2012.01.29)

憲法9条は、基本的に2つのことを放棄しています。戦力と戦争です。

「あたらしい憲法のはなし」、1947年8月 文部省発行には以下のように記述されています。
みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人もおおいでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったのでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考えましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。

そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

もう一つは、よその国と争いごとがおっこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないことをきめたのです。おだやかにそうだんして、きまりをつけようというものです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。また、戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。

みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。

以上の通り国は中学生にこのように憲法9条を教えていました。それにも拘わらず国内の国民の総生産額(GDP:国内総生産)の1%にもなる約5兆円の国防費予算が毎年ついています。これは日本の税収の20%近くになります。国家予算の6%弱です。憲法違反の戦力強化と維持にこれだけのお金を毎年つぎ込んでいるのは、ほとんど喜劇です。また、この明確な憲法違反にこれほどの大金をかけても文句一つ言わない日本人は、相当な二面性を持っています。

既に、原発の稼働で溜め込んだプルトニウム239が50トン(50,000,000グラム)もあります。プルトニウム239はわずか1グラムで4千万人の人を殺傷できます。つまり3グラムを日本の上空から風船にでも詰めて飛ばすだけで日本人を全員殺せるということになります。50トンでは約2千兆人(世界中の人を30万回)殺せますから、何も一機100億円もかけて戦闘機を買う必要なんかありません。ちなみにこの購入をやめれば福島県民1人当り5千円の医療費補助を捻出することができます。

ところで福島原発事故の害は、約4,000兆円(日本人一人当たり4,000万円)をはるかに超える金額になります。これは1960年に日本政府(原子力産業会議)が行った原発被害の試算をもとに現在の価値に計算し直したものです。それでも何ら意味ある対策にならないと思います。カドミニウムの除染にかかった費用は、ヘクタール当たり5.3億円です。これで文科省が発表した汚染地域(12.4百万ヘクタール)を全域除染すると6,300兆円(日本人一人当たり6,300万円)になります。これでもほとんど焼け石に水です。つまりまともな除染とか対策を実施すると国家は破綻します。日本の国内総生産は、約500兆円ですから今後12年間無収入(GDPを10年間ゼロ)或いは今後40年間国家予算(年間約100兆円)を全て除染にあてるという規模です。このような広範囲かつ複雑な地形の除染はほとんど実行不可能なことです。実際はもっと厖大な費用が掛かります。したがって、真面目に復興を願うのであれば日本国民は相当の覚悟をする必要があります。

既に放出された放射性物質と放射線は、関東以北と太平洋の生命を回復不可能なレベルにまで追いやりました。福島第一原発事故時に存在した総放射線量は7.2億兆ベクレルであったと政府と東電により発表されています。これは、広島原爆の最低9万倍、チェルノブイリ事故の約138倍です。このように考えていくと日本は既に国力の大半を失ってしまったと考えてもおかしくないと思います。だからいままでの国防に対する考え方は根本的な改革が必要です。守る国の約半分が消失してしまったようなものですから。

仮想の敵は、実は外には少なく、ほとんど国内にいるといえるかもしれません。このことにまだ日本国民は気付いていないようです。もはや国防費は、外敵を想定するのでなく、原発をまだ推進している政治家、役人、学者、経済人、マスコミに対して使われるべきだと思います。彼等が奪う命は、広島長崎原爆による21万人の死者の比ではありません。5千万人、一億人という日本の人口の半分以上の規模です。今や国防の最重要な課題とは、日本の原発54基を内外の攻撃からどうやって守るかです。外からの攻撃とは勿論外国からの侵略とテロです。内からの攻撃とは、天災と人災と既に貯めこんだ放射能のゴミの処理と拡散の問題そして未だに原発を推進する人々による害です。このような外敵から内敵への次元(時空)の転換が起きたことを認識する必要があります。

人類は長く続いた氷河期の終わりとともに約一万から一万五千年前に狩猟漁労採集を放棄し農耕牧畜を中心とする定住生活を始めました。それによる富の蓄積が始まりました。狩猟漁労採取の時代の生活を規定するルールは"慣習あるいは伝統"です。長老あるいは家長を頂点とする習わしとか伝統に従った生活がありました。農耕牧畜による生活はこのような慣習や伝統だけではとても維持できなくなり新たなルールとして"命令"が発明(出現)されました。組織の長が決める命令によって組織を維持することが可能となり大規模な耕作とか事業の遂行が可能になりました。

しかしながら、この富の蓄積によって人類は今まで経験をしたことがなかった大きな問題を抱えることになりました。つまり、富をめぐる人と人の争いです。さらにあくなき富の追及による人と自然との争いです。この2つをどうやって解決するのか?天文学的な数の法律、倫理、宗教などが準備されましたが、何も解決されません。その中で、いままでに提示された答えは2しかありません。一つは正直に"不可解、つまり、わからないと言うこと"つまり何も解決しないことです。もう一つは"人間の英知に期待する"です。つまり問題を先送りにすることです。この二つでは何の解決にもならないわけです。ということで今までの人類史では、この二つの重大な問題点は未だ何の解決も見出せずにいます。紛争は世界中で減るどころか増えています。地球環境は、毎年悪化する一方です。

そこでもっと人間の誕生から、そしてさらにその前の地球上の生命の誕生(地球は46億前に誕生しました。地球上に初めて生命が誕生したのは約38億年前と推定されています。地球の寿命は太陽の寿命に依存しています。太陽の寿命は約100億年と推定されています。したがって、地球は、後54億年位は存在します。ちなみに宇宙の誕生は、約137億年と推定されています。)にまでさかのぼって、この問題を考えてみることにします。そうすることによって、なぜ我々がこの問題に対する解決が見出せないのかが分かるかもしれません。人間に地球を救う英知を求めることが基本的に間違っていることが理解できるかもしれません。

人の行動は、そのDNA(ヒトの細胞の核の中にある46本の染色体に書かれた生命の設計図です。60億個の文字のような4つの塩基-G,C,A,T-が30億個の対になっています。)に書かれた指示に、無意識のうちに、従っています。ヒトの全DNAは、2003年に完全解読されました。これをヒトゲノムの完全解読といいます。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、そして日本の五か国の国際協力プロジェクトによって達成された快挙です。日本はこの中の7%を担当しもっとも正確に解読しました。ヒトゲノムの解読は、人類史上の最大の発見です。 地動説とか地球は丸かったとか蒸気機関車とか原子力とかコンピュータとかの比ではありません。生命の起源につながる大発見です。

ヒトゲノムの完全解読によっていくつかの重大なことが分ってきました。その中で最も驚くべきことは ヒトゲノム(DNA)の46%は、ウィルスが持ち込んだものであることがわかったことです。残りの50数パーセントはまだわかっていません。ひょっとすると我々のご先祖様はウイルスなのかもしれません。またすべての地球生命が同じ起源に至ることもわかりました。 LUCA(Last Universal Common Ancestor)という共通祖先です。そのLUCAの先にはウイルスがいると考えられます。チンパンジーと人のDNAは1.27%しか違わないなどもわかりました。そして、おそらくウイルスが生命間のDNAの運搬屋であろうことが推定されています。また、これはまだ仮説ですが、地球生命のDNAは、彗星の中にいた(いる)細菌とウイルスによって宇宙からやってきた可能性があります。彗星は、太陽から一光年ぐらい離れたところにハレー彗星ぐらいの大きさのものであれば2兆個位あると考えられています。あと5年位で生命の胚珠は宇宙から来たとするパンスペルミア説が実証されると期待しています。

さてヒトのDNAがウイルス由来でそのウイルスが宇宙由来となると、ヒトも実は本質的に宇宙由来だから、地球への旅行者ともいえます。しかもなるべく短期滞在してふたたび宇宙に帰る宿命を持った宇宙からの旅行者なのかもしれません。人の故郷であるかもしれない宇宙は、放射線に満ちています。ですから人は、宇宙線が欠乏している地球を宇宙と同じ環境にして宇宙に、DNA(細菌或いはウィルスの形か)として、戻りたいという宇宙意思があるのかもしれません。四代文明の一つを築いたシュメール人は、森の神様フンババを殺害して森林を切り倒し(ギルガメシュの叙事詩)木を使い尽くして滅亡しました。 我々はその教訓を生かせず、その後石炭、石油、天然ガス、そしてついにウランというエネルギー源に至る文明を築きました。一言でいうと、エネルギー源を燃し尽くすのがヒトの文明ということになります。

ヒトだけが地球上でエネルギーを滅茶苦茶に使っています。他の生命はいわば与えられたエネルギーをそのまま使って生きています。旅行などしません。バーベキューパーティーなどしません。宅急便など利用しません。冷暖房などしません。だから人は一日一人当たり40,000キロカロリーのエネルギーを使うまでになりました。これは生存に必要な、エネルギー2,000キロカロリーの実に20倍です。日本人は50倍、アメリカ人は100倍のエネルギーを使っています。ヒトはほとんど狂ったようになんと象に匹敵するエネルギーを使っています。それは何故か?簡単です。それはヒトのDNAに書かれた宇宙意志による指令です。ヒトのDNAは、先ほど言いました通り宇宙からやってきたウィルス由来と思われます。そのウィルスの唯一の目的は、自己複製です。説明を省きますが、宇宙に早く戻る事がウィルスの複製には有利です。ですからウィルスであるヒトに、地球との争いをやめたり、人と人との争いをやめることを期待することは間違っています。ヒトにそのような英知があるというのは、幻想です。何故なら、もしヒトのご先祖様が最もウイルス的なウイルスであるのなら、ヒトの生命目的は、そのウイルスと同様であり宇宙間の移動と複製を目指すからです。

この視点から考えることによって始めて、人間問題の解決が見えてきます。憲法9条は、我々に人間の本質を見よと語りかけています。是非今夜は、夜空を見上げてください。そして、心を素直に、星たちの語らいに耳を澄まして下さい。我々の過去、現在そして未来を語る星々の声が聴こえるはずです。今その声を聞く勇気が求められています。


一橋大学イノベーション研究センター
特任教授 所 源亮

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