宗教者九条の和
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「2012年の日本の課題と対応」
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(Revised 2012年1月23日)

2012年は、日本の全歴史を通じて経験したことのない年になります。それは、2011年3月11日の福島第一原発事故によってもたらされました。

福島第一原発には、2011年3月11日の時点で、7億2千万テラベクレル(東電発表)という想像を絶する総放射線量の放射性物質がありました。といっても、その危険性を理解できる人はほとんどいません。しかし、チェルノブイリ原発事故の約150倍、或いは広島原爆の10万倍をはるかに超えるといえば少しはピンとくるかもしれません。

もう少しわかり易いのは、福島第一原発によってつくり出されたプルトニウム239で殺すことができる人の数かもしれません。福島第一原発が産生する1日の量で約1,500億人を殺すことができます。40年間(50%稼動)とすると約1,000兆人です。1,000兆人とは数が大きすぎてわかりにくいと思いますが、これは、世界中の人を10万回以上殺害できる数です。詳細は「原子力発電のミニ手引書」に書いてあります。

このような膨大な放射性物質(放射能)が2011年3月11日から環境に放出され続けています。陸に約10%、海に約90%と推定されます。文科省が漸く発表した日本の陸地汚染を見ると、東京を含む関東以北・北海道以南の地下水は、全滅することが容易に推察されます。近い将来この地域で生産される食品はすべて食糧に適さないという判断がされると考えられます。発表がされることはないと思いますが、既に日本では科学的な根拠が脆弱な"暫定値"(ベクレル表示)を設定することによってしか関東以北・北海道以南で生産された食品の多くは、食糧に適するといえない状況に陥っていると思います。ということで、世界の厳しい方の暫定値は、日本の1/5〜1/10となっています。この基準で線を引けば、今流通している食品の多くは、廃棄処分されることになります。このような飲み物と食べ物の摂取による健康被害の予測については、添付の"放射能の被害を最小限にするミニ知識"をご参照いただければ幸いです。

福島第一原発事故による環境汚染は、24万年以上(プルトニウム239が1/1,000の放射能レベルになる時間)続きます。しかも、世界中に広がって行きます。海に流された放射性物質は、既に徐々にハワイ全島そしてアメリカ西海岸に達し、太平洋全域の魚介・海藻を食することができなくなる状況に至ります。太平洋側の日本の魚介類は、今、検査をしていないから食品になっているのが現状です。まともな検査をしたら、もっとも危険な食品であることが判明するはずです。

2012年の日本の全産業そして全人口は、このような自然環境の中に立地しています。ほとんどの企業人は、多くの日本人と同様、この現実に目を向けようとしません。提示(公知)されている"原発の数値"が訴えていることに対し無視を決め込んでいるかの如くです。何故でしょうか。答えは簡単です。福島第一原発の事故を過小評価する方が"楽"だからです。別の言い方をすると、安全だと思いたいからです。しかしそれは"幻想"です。そして原発に関して自分が思っていたことのすべてが幻想であったことを不幸にして4〜5年後位に東京でもわかることになり、後悔することになります。しかし、残念ながら、それでは時すでに遅しです。

以上より、2012年の日本の課題は、明確です。円高でもTPPでも原油高でも温暖化(注)でも少子化でもありません。放射能リスクとどう向き合うかです。これがすべてに優先して考慮され検討されなければなりません。

原発と原爆は、同じ科学原理(核分裂:ウランに中性子をあてる)によります。その違いは、電気(原発)を目標とするのか、破壊(原爆)を目指すのかだけです。原発は熱で水蒸気を発生させ、タービンを回して電気をつくり、原爆は熱と爆風で生命を破壊します。原発も原爆も共に死の灰(核分裂生成物)などの恐ろしい放射性物質をつくります。原発はそれが環境に絶対に放出されないという"安全神話"を担保に推進されました。しかしながら、2011年3月11日にそれは崩壊しました。原発が爆風のない原爆になった日です。

福島第一原発事故の後、まだ"安全神話"を信じている或いは信じ込まされている日本人、そして、その事故を過小評価している日本人、さらに、もう2度とこのような事故は起きないと信じている日本人は、2013年には、その幻想の高い代償を払うことになるでしょう。

今年、日本人が"直ちに"すべきことは、すべての原発を先ず止めることです。そして、すべての飲み物と食べ物の放射線検査と科学的な根拠の見える"暫定値"を国民の合意のもとにつくることです。福島第一原発の害は余りにも大き過ぎて人間が解決できる領域を超えてしまっていると思います。

敬具


一橋大学イノベーション研究センター
特任教授 所 源亮

 | 「原発の国負論」概要 (Revised 2013.4) |

 | 2012年の日本の課題と対応 (Revised 2012.1.23) |

 | 日本人の幻想(二面性)、憲法9条 (2012.01.29) |

 | 原子力発電のミニ手引書 (Revised 2011.11.08) PDF |

 | 放射能の被害を最小限にするミニ知識 (2012.1.22) PDF |



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