宗教者九条の和

The Third Asia Inter-Religious Conference on Article 9 of the Japanese Peace Constitution
 9条アジア宗教者会議 Article 9 and Peace in Asia
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済州島国際諸宗教連帯訪問と声明
2011・12・5 - 8

背景


 今回の訪問計画は、2011年10月5~7日沖縄において開催された「第三回アジア諸宗教9条会議」において発案されたものです。この会議は、アジア地域における軍事化について、沖縄、済州島、さらにフィリピンにおいて拡大する米国軍事基地の問題に焦点をあてました。韓国教会協議会(NCCK)により済州島への国際諸宗教連帯訪問の受け入れを快く引き受けていただいた結果、仏教、カトリック、新宗教から13名の参加をえて訪問が実現されました。参加者は、日本から6名、北米から5名、台湾から1名、アジア・キリスト教協議会(CCA)代表と韓国からの8名でした。訪問の直前、米国政府が、アジアにおける軍事的存在の強化を発表し、またオーストラリア、ダーウィンの基地開設について言及したことによって、この問題の緊急性がさらに深まった背景に注目すべきでしょう。

声明

 日本、香港、台湾、米国、カナダからの諸宗教平和代表団は、韓国政府にたいし済州(チェジュ)島の江汀(カンジョン)村における海軍基地建設の即時中止を求めます。私たちは、江汀の村人、済州島の住民、平和を愛する韓国の人びとの海軍基地建設抗議の長く、厳しい闘いについて学びました。2011年12月5~7日の済州島訪問をとおして、海軍基地建設に反対する人々の言葉に耳を傾けた私たちは、今、彼らと連帯しています。

 私たちは、宗教者として、武力が世界の人びと、とくに弱い立場に置かれている人々に、真の持続的安全をもたらさないことを知っています。地政的に重要な位置にある韓半島は、真の安全をもたらす平和の可能性をつなげる役割を果たすことができるのです。しかし、済州島に建設されつつある海軍基地によって、島は地域における軍拡の拠点として利用され、数世紀にわたって繁栄してきた平和の文化が切り取られているのが現実です。この現実は、住民、文化、そして環境に深刻な悪影響を及ぼしています。

 私たちは、江汀村において異様に多い警官の存在に遭遇し、村人が日常的に体験している脅威と無力感を味わいました。また基地建設に抗議する村人に課せられた多額の罰金、基地建設阻止のために国内法に基づいて彼らが起こした訴訟の費用の問題など具体的な困難の他に、観光、漁業、輸送などを生業としている村人が、基地建設によって生活の手段を奪われている事実にも気づかされました。軍事基地の存在は、村の文化、価値を破壊し、基地に隣接している江汀村共同体が,近い将来、犯罪と暴力に直面することを意味し、基地の開設によって、多くの住民が住居、仕事、近隣の人間関係を失うことも明らかです。宗教者として、私たちは、村人と韓国社会における彼らの同志たちと連帯します。

 基地と環境問題について言及すれば、ユネスコは、済州島を環境保護地として世界遺産に指定しています。さらに自然環境と美しい景色が見事に保たれていることから世界地質公園としての指定も受けていることにも注目すべきでしょう。柔らかなサンゴ礁、珍しい玄武岩からなる環境保護地である江汀村を、海軍基地が当然もたらす破壊から守らなければなりません。江汀の生物学的遺産とその美しさは、韓国海軍だけでなくすべての人びとへの贈り物ですから、神の創られた万物を尊重し守る私たちは、どうしても基地建設に反対しなければならないのです。

 米国は、オーストラリアのダーウィンに基地を開設すると発表していますが、この事実は、米国と中国の関係を悪化させるでしょう。済州島に海軍基地を建設することも同様な結果をもたらすはずです。韓国と米国の間には、米国が建設中の基地を無制限に利用することを合法的に認める協定があるからです。米国あるいは他国の軍隊が地域にとどまることは、重大な問題であり、沖縄、辺野古の人びとと江汀村の人びとの現実には不気味な共通点が存在します。民主的な決定プロセスの欠如、住民の現状と環境問題への無関心など、それぞれの違いがありますが、問題として同じよう存在しています。

 さらに、この基地が、イージス・ミサイル駆逐艦の寄港地として建設されていることは、現在地域に存在している軍事力の明らかな増大を意味し、私たちは、宗教者としての責務として、人間と生物共同体をただちに破壊の危機に直面させる軍拡競争の阻止に取り組みます。世界各地において、軍事費は膨大し続け、若者、貧困者、あるいは弱い立場に置かれている人びとが、社会福祉予算削減に苦しんでいます。私たちは、人間、医療、生活は、兵器と戦争のためのあらゆる手段に優先されるべきであることを宣言します。

 上記の理由により、私たちは韓国政府が、海軍基地建設を即時にとりやめ、江汀の村人との和解への具体的ステップをとるように要求します。そのために、

  韓国政府は、抗議する平和活動家の逮捕を続けず、江汀村で抗議する人々への逮捕要求を
    とりさげること

  韓国政府は、海軍基地建設に平和的手段で抗議している村人に課せられた罰金と刑罰をた
    だちにとりさげること

  韓国政府と関係者すべては、江汀村の民主的プロセスを尊重し、基地建設をめぐる対立に
    かかわる当事者すべての和解の実現を妨げず、済州島における正義と民主的法の支配
    を確立すること

  韓国政府とすべての関係者は、江汀村の海岸線の生態系の維持のために予算を投入し、
    村民の要請に従い、基地建設予定地を平和公園として認定すること





  済州島連帯訪問声明

  蜜柑と茶、名水の島を軍事基地にするな!

  韓国チェジュ島記者会見



3回 9条アジア宗教者会議 |開催日程||趣意書||報告会開催日程
3回沖縄声明文 | |決議文・済州島江汀村に平和を!|キリスト新聞掲載記事(2011/10/22)

済州島国際諸宗教連帯訪問と声明  | | 蜜柑と茶、名水の島を軍事基地にするな!
韓国チェジュ島海軍基地建設に反対する記者会見


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